バックルームの起源
バックルームは、今でこそ皆がWikiで編集して共有できる形をとっており、各人の創作記事がレベル(階層)として位置づけられるに至っていますが、もともとは4chan(日本でいう、5ちゃんねる)に投稿された以下の1枚の画像が話題となったことがブレイクのきっかけでした。
この、どことなく不安を掻き立てるような1枚の画像から始まり、さまざまな人がそこにストーリーを付け加え、人から人へと伝わっていき(インターネット・ミーム)、やがて恐怖画像・ホラー説話としての一大コンテンツ(クリーピー・パスタ)となりました。
現在の傾向
現在ではfandomやwikidotをはじめとする編集サイトで日々、新たなバックルームが投稿されていますが、上記の画像が登場した当時にはなかった、以下のような概念も追加されています。
- エンティティ(モンスター)
- オブジェクト(アイテム)
- 探索グループ(コミュニティ)
- その他
※エンティティに関しては存在が示唆されていたものの、当時その正体は不明とされていました
これらの多様な概念が追加される中、本来のバックルームの恐怖感というものは失われていくことに。
例1:
エンティティがやたらめったら出現することにより、空っぽの部屋が生み出す孤独感・焦燥感といった要素が失われる
例2:
活動グループ・コミュニティが出現することにより、誰にもいない空間が生み出す恐怖感の要素が失われる
このような感じで、バックルームとは何か?というのは状況とともに変わってきており、今と昔では別物と感じる人もいることでしょう。
本来のバックルームの定義とは?
それではバックルーム出現当時のあの画像が不安を掻き立てるとして注目された理由を言語化するとどのような要素が挙げられるのか。今回は一例として、以下の5つの要素を挙げてみます。
- 屋内であること
- 実質無限の広がりがあること
- 繰り返し性があること
- リミナルスペースであること
- 空虚感・空っぽ感があること
ひとつずつ見ていきましょう。
1. 屋内であること
バックルームというからには部屋、つまり屋内であるという考え方です。ただ、後述のリミナルスペース感を重視するならば、必ずしも屋内である必要はないという考え方もあります。
「人気(ひとけ)のない小麦畑(Lv10)」など、「どことなく不気味な空間」は、屋内に限定されるものではないと考えられるからです。
2. 実質無限の広がりがあること
実質無限とは、一人では隅々まで探索することが不可能であることを意味しています。レベル0は約15億km2程度と有限の空間ですが、それは1人の人間が探索するという観点からみればほぼ無限。
空間が有限だと自分がどこにいるのかが分かりやすく、それが安心感にもつながるため、無限の空間は不安を煽るためには必要な要素といえます。
3. 繰り返し性があること
同じような部屋が繰り返し出現する空間では、目印となる場所を設定することが難しい。この迷い易さもまた不安を助長させる効果があるため、バックルームの要素として重要です。
4. リミナルスペースであること
リミナルスペースは直訳で「境界の空間」。もともとは建築用語だそうです。イメージとしては、建物のメインホールではなく、そのホールに隣接する廊下といった感じ。
その廊下のイメージは
- はっきりとした印象が残らない場所
- どことなく不安を感じさせる場所
という、バックルームと相性の良い要素を含んでいます。
以前もここに来たことがあるような気がする
バックルームとは、そんな雰囲気を感じさせる場所でもあります。
5. ほとんど空っぽの空間であること
余計なものが置かれていないことも重要な要素のひとつ。引っ越しで部屋の荷物を搬出した後の何もない部屋の方が空虚感が感じられますよね。
この「心にぽっかり穴が空いたような感覚」というのも、不安感や空虚感をコンセプトとするバックルームと相性が良い概念です。
本来の定義で今のバックルームを採点!
この定義づけに基づいてバックルーム(ウィキドットver.)の各レベルを採点したブログがありました。
この採点は、バックルームにレベル(階層)の概念が設定されて共同で編集できるようになってから、その本来の定義の重みは薄れつつあることを示しています。
以下の動画はその解説になっています。この動画に関しては、ひょっとしたら動画そのものよりもコメント欄の方が有意義かもしれません。いろいろな考えを持った方たちが書き込みをしてくれています。